シルクスクリーンプリントのデザイン作りのポイント

2025.05.01

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シルクスクリーンプリント用のオリジナルTシャツデザインの作り方

シルクスクリーンでオリジナルグッズを作るのに、何が何でも必要なのがデザイン!
あったりまえだけど刷りたい絵柄が無ければ何も刷れない。。

でも、どんな絵柄でも良いというわけでもなく、実はシルクスクリーンプリントに合ったデザインというのがあります。

シルクプリント用のデザインのやり方がわかれば、狙い通りの仕上がりになるし、なにより価格を抑えることにも繋がるかも。

自分で作るにも、お店で作ってもらう時でも同じ仕組み。
思い通りにデザインする為にはシルクスクリーンの仕組みを少しだけ知ることが必要なんです。

きっと読み終わる頃にはシルクプリント用のデザインがわかるはず!

シルクスクリーンプリントの仕組み

そもそもシルクスクリーンプリントって?

何枚も同じ図柄をプリントするのに便利な技術なんです。

シルクスクリーンは、皆さんが着てるTシャツはもちろん。
街の看板や、小さなところならリモコンの数字や文字もシルクプリント。

もしリモコンに何もプリントされてなければ何が何チャンネルかわかりませんよね?
それ以外にも実は生活の至るところで使われてる技法なんです。

そんなシルクプリントですが、同じ図柄をプリントするにはまず版(はん)というものが必要になります。

版(はん)を知る

では、版って何でしょう?


ちょっと違いますが、身近なモノで言えば「ハンコ」
「ハンコ」はデコボコした凸の部分にインクをつけてますよね?

シルクスクリーンの版は穴があいた部分にインクを通します。

穴があいたハンコ?の穴にインク?
文字だと難しいですよね。

大丈夫です、ここで簡単にわかる実験をしましょう。

白い紙(版)、黒い紙(Tシャツ)、ハサミ、それにマヨネーズ(インク)を用意して下さい。
分かりやすいよう黒と白の紙にしましたが、インク(マヨネーズ)の色がわかれば何色の紙でも大丈夫。
ちなみにマヨを選んだのは大体の家庭にあって、インクに似ているってだけなので絵具があれば絵具使ってくださいね!笑

ハサミで版の真ん中あたりを好きな形に切り抜きます。紙の縁には固定の為セロテープを貼ってあります。

黒い紙が下、白い紙を上にして、ピッタリとよれないようにして重ね合わせます。

インクを指でも紙の上にでもいいので少し出して、穴を塞ぐように塗り広げます。

塗り終えたら白い紙をずらさないように気をつけて剥がして完成!

下の画像ではマヨネーズが薄くのっている部分が透明になってしまいましたが、綺麗にマヨネーズラインが引けました。

どうですか?簡単な仕組みでしょ?これがシルクスクリーンプリントの原理です。

版(はん)をさらに知る

版にはもう1つデザインに関わる大事なことがあります。

版の特徴として、インクが通る穴が
「ある」か「ない」か

これがデザインにどう関わってくるのでしょうか?

実はシルクスクリーンプリントは「グラデーション」「かすれ」「にじみ」の表現が苦手です。
それではなぜ苦手なのか「グラデーション」で説明しましょう。

グラデーションとは色の濃淡。濃いか薄いかですよね?
画像には青とオレンジでそれぞれ色が濃い部分と薄い部分があります。

これをシルクプリントで表現するのは色んな技術が必要で難しいんです。
なぜなら、版の特徴である穴が「ある」か「ない」かが関係します。

マヨネーズを使った説明にあるように、穴にインクをのせて図柄を形どることしかできません。
インクをのせる場所を決めるのは得意ですが、インク量(どれだけのせるか)は決めれません。

なのでシルクプリントではグラデーション部分をどう表現するか問題がでてきます。
どこまで穴にするか、どこから穴にしないかを決めないとだめなんです。

ただ、これを解決する技法もあるのでとりあず今はそこまで心配することはなく、頭の隅にでも入れておいて描きたいように描くのが良いと思います。

デザインを描く2つのポイント

ここでは、これからプリント用のデザインを描きたい方の参考になるポイントをまとめています。

実際に印刷したいサイズで描く

大事なポイントですが、紙の上に描く場合は印刷したい大きさで描いた方が良いです。

なぜかというと、大きなものを小さくしても印象はあまり変わらないですが、小さなものを大きくすると印象がずいぶん変わってしまいます。

コンピューターの中の話なので今は細かな説明はしませんが、小さいと目立たなかった部分が大きくすると粗さや違和感として表れてしまうんです。

とにかく実際のサイズで描くのがベスト!

ペンの太さ

シルクスクリーンプリント用のデザインをする時に気を付けておきたいのが、ペンの太さ。

シャーペンのような太さは、版にできない場合があります。細い線や小さな穴を作るにはより版作りの技術が必要になるからです。

1mmくらいの太さであれば、大体どこに依頼してもやってくれるはず。

もっと細かくしたい場合、依頼するなら相談して、自作するなら技術をあげる必要があります。

2色以上を使ったデザインを描く2つのポイント

さて、これでシルクスクリーンの仕組みは分かってもらえたと思います。

1つの版で使える色は1色が基本

穴にインクを通すのがシルクスクリーン。
だからどんなデザインでも版にすると1色しかできないので、ここだけ赤、ここだけ白、なんて使い方は基本的にしません。

1つ目のポイントは1つの版で単色しかプリントできない。

じゃあ、Tシャツみたいに色んな色を使ってるのはどうするの?
と聞こえてきそうですが、実は版を2枚以上使っているんです。

ん?ちょっと難しいですか?

大丈夫、次の図をみたらすぐに分かります。

2色以上を使うにはデザインを分解する

ここがシルクスクリーンでデザインするポイントになるんですが、
版を作る時にデザインを色ごとに分解しています。

下記のデザインを色ごとに分けると、AとBのような2種類の版ができます。
2色なので2枚の版が出来上がります。3色なら3枚というように。

そしてA、Bどちらの版も
青 → インク通さない
白 → インクを通す
ように作られています。


次にインクを乗せて刷ってみます。
Aを紫インクで刷って乾かし、Bを乾かしたプリントに重ねて位置を合わせ黄色インクを刷ります。
すると元のデザインがプリントされるという仕組みです。

一度作った版は何色のインクを使ってもいいので赤と黒でプリントすればまた違った雰囲気の仕上がりになります。

そして実はこのデザインをプリントするには、もう一つ違う方法があります。
それが下図にあるようなCの版を作った場合。


ただし、この場合は赤い「WOW」の部分が黒インクの上に重なります。

どちらもパソコン上では同じデザインに見えますが、実際は「WOW」の部分だけインクが分厚くなります。
また、インクによっては「WOW」の部分が下地の黒色が透けたような色見になったりします。

どちらのやり方にせよ、色の数だけ版を作るには違いありません。
これが2色以上のデザインをする場合に必ず抑えておかなければならないポイントとなります。

ここからは自作する人向けですが、AとCの版でそれぞれメリットデメリットがあるので少し紹介しておきます。

メリットデメリット
A・インクの重なりが少ないので風合いが柔らかい・重ねる位置がシビアになる
C・正確に位置を合わせなくても良いことが多い
・より立体感、奥行感がでる
・インクの使用量が増える
・生地が固い風合いになる

1つの版でいろんな色を使う2つの裏技(自作する専用)

これまでずっと1つの版に単色しかプリントできないって言ったのですが、実は1つの版で複数の色を使う方法があります。
でも自作するって人だけに教える裏技。(裏技って言いたいだけ)

手間がかかるので業者さんに下記のやり方を依頼するとまず嫌がられると思うのであしからず。

プチ宣伝だけど、foothills worksは喜んでやりますよ~!

マスキングテープを使う

いっぱい色を使うなら手っ取り早くて綺麗に仕上がる方法マスキングテープ!

そう、色を変えたいところの穴をテープで塞ぐんです。

アナログながら優秀な方法なんです。
粘着が強いテープは版を痛めるからマスキングテープがおすすめ!

まず色を変えたい部分を塞いでプリント

次に、変えたい部分のテープをはがし、初めにプリントした部分を塞いでプリントすると出来上がり。

インクを色々のせちゃう

この方法は狙い通りには出来ないことが多く、偶然の産物を楽しむような方法です。
マーブル模様の図柄を表現できます。

版の上に2色以上のせてプリントする。

まとめ

あれこれとシルクプリントの得意なこと、苦手なことを書きましたが、まずは自由に描きたいものを描く。
シルクスクリーンプリント技術に制限されるのではなく、表現したいことが先にあってどの方法でやるのかを模索する方が楽しいと思います!

この記事では触れなかったんですが、グラデーションや写真の表現方法もあるので今後紹介していきます。

記事を書いてる人

yuki

Yuki Fumoto

2016年引っ越しを機に適材適所に家具がはまらない事を嘆き木工にハマる。機能面にこだわり、生活に寄り添った作品を得意とする。
気になることは調べ上げ掘り下げ追い詰め度を超して、嫁に渋い顔をされる猪突猛進型のO型。

   

シルクスクリーンアート工房
foothills works 責任者
https://foothillsworks.net